例: 麻酔薬投与システム |
麻酔薬投与システムの 閉ループ系 |
コンパートメントシステムモデルは、非負値の状態をとる質量・エネルギーバランスの考察から導出され、サブシステ
ム(コンパートメント)間の非負量の交換を内包する。これらの
モデルは工学及びライフサイエンスにおいて広範囲に存在し、システムバイオロジーの観点から統一的な枠組みを提示する。
本研究では特に生物学・生理学におけるコンパートメントシステムに焦点を当てる。生物・生理システムモデルは非線形で非常に不確かな パラメータを含んでいることが知られている。その不確かさは、個体間の差異のみならず、個体内の時間的変動にも起因する。そのような非線形で不確かなシス テムに対しては適応制御を適用することが有効である。この研究では、コンパートメントシステムに対する制御系の設計を第一に考える。特に、本研究では非負入力の下でのセットポイントレギュレータを構築する。さらに、この制御系を薬理・薬物学システム に適用する。
この研究の第二の目標として、前段落で得られた知見を用いて、生体機構そのものにおける「適応」とは何か?の問いに答える。特に、シ
ステムバイオロジーの観点から、生物システムの(内的)適応機構の定式化に取り組み、生物学において新しいパラダイムを提示することを目標とする。