主催・企画:計測自動制御学会 制御部門
協賛:システム制御情報学会,精密工学会,電気学会,電子情報通信学会,日本機械学会,日本鉄鋼協会, 日本ロボット学会,人工知能学会,日本電気計測器工業会,土木学会,ヒューマンインタフェース学会,スケジューリング学会, 日本リモートセンシング学会,日本音響学会,日本応用数理学会,日本建築学会,日本航空宇宙学会,日本知能情報ファジィ学会,日本フルードパワーシステム学会, バイオメカニズム学会,自動車技術会,プロセス計装制御技術協会,計装研究会


■ セミナーの紹介

 現在地球は気候変動,エネルギー危機,食料危機,金融危機など様々な深刻な問題に直面しています.ますます大規模化,複雑化する地球環境問題に対して日本の計測制御技術が貢献できることはないでしょうか. 人類の行く手に立ちはだかる大きな“制御”問題に対する制御方策を見付けることは極めて困難ではありますが,このような問題意識を強く持った上で, 本セミナーでは,環境問題,太陽光発電,風力発電,スマートグリッドなど,大規模化,複雑化する制御問題へ応用可能な予測・分散・協調制御について,学術界や産業界の第一線でご活躍されている講師を招聘し,詳しくご講義いただきます.

 第1日目は予測制御,分散協調制御の基礎について学びます.まず,滑川徹先生(慶応義塾大学)より,環境をめぐる昨今の社会状況とそれに対する制御理論の貢献の可能性に関して概観していただきます. 次に,藤田政之先生(東京工業大学)より,環境に貢献する制御法として最も有力であると目される予測制御の基礎からツールボックスの使い方までを紹介していただきます. 次に,畑中健志先生(東京工業大学)より,前述の予測制御を分散的に実装する分散予測制御の基礎を解説していただき,さらにその他の分散協調制御問題としてセンサ配置問題について紹介していただきます.

 また,第2日目は,分散協調制御の先端的話題と環境に関連した応用事例をご紹介いただきます. まず,石井秀明先生(東京工業大学)より,合意問題の基礎について解説していただいた後,その発展としてPageRankアルゴリズムに関する近年の研究成果をご紹介いただきます. 次に,環境を意識した応用事例として,岡本浩様(東京電力)に電力供給ネットワークにおける制御技術について,地球温暖化に関する最近のトピックも含めて幅広く解説していただきます. 最後に,浅野一哉様(JFEスチール)より,鉄鋼プロセスの制御課題におけるハイブリッドシステムなどの制御対象に対する予測制御の適用について,詳しくご講義いただきます.

 本セミナーでは,環境問題に対して制御の理論や技術が現在提供できるシーズをできるだけ広く紹介することに主眼をおきます. 企業において環境問題に従事されている方はもちろんのこと,新たな研究テーマを模索中の意欲のある大学院生には絶好の機会です. 本セミナーは2日にわたって開催されますが,受講者の希望に応じてどちらか1日だけの参加も可能です.この機会に多数の方々がご参加くださいますようご案内申し上げます.

 また,2005年度からセミナー参加費の取扱が改訂されました.学生会員については参加費の引き下げを行い,さらに賛助会員については新たな特典として,申込期限までの事前申込の場合には,割引料金にてセミナー受講ができることになっております.賛助会員組織の方々もふるってご参加くださいますようお願い申し上げます. なお,賛助会員リストは下記URLにてご覧頂けます.
 http://www.sice.or.jp/annai/sancp.html


■ 開催概要

期 日: 2009年12月3日(木),4日(金)
会 場: 東京大学 本郷キャンパス 工学部6号館3階 セミナー室A・D
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学本郷キャンパスまでのアクセス
東京大学本郷キャンパス内地図
地下鉄:東大前駅(南北線)徒歩1分, 本郷三丁目駅(丸の内線・大江戸線)徒歩8分/湯島駅・根津駅(千代田線)徒歩8分,春日駅(三田線)徒歩11分
講 師: 滑川 徹君(慶應義塾大学)
藤田 政之君(東京工業大学)
畑中 健志君(東京工業大学)
石井 秀明君(東京工業大学)
岡本 浩君(東京電力)
浅野 一哉君(JFEスチール)
定 員: 80名(定員になり次第,締め切ります)
申込締切: 2009年11月17日(火)
受講者定員に余裕がございますので,申し込みをまだ受け付けております. 詳しくは下記の担当者までお問い合わせください.


■ 講義内容

 本セミナーでは,以下の内容とスケジュールにて講義を実施いたします. また,テキストにはスライド資料を使用いたします.

12月3日(木) 第1日目(10:00〜16:15)

10:00〜11:00
イントロダクション「制御理論は環境問題に貢献できるか」
講師:滑川 徹君(慶応義塾大学)

 サステイナブルな社会の実現のために,限りある資源を有効利用し,地球温暖化を防止する計測制御技術の開発が求められている.一方で産業の発展と快適な社会の持続のためには,エネルギーの安定確保と供給が必要とされる.
 本講義では「環境計測技術」と「エネルギー供給技術」のための分散協調制御理論とセンサスケジューリングに関する国内外の趨勢を紹介し,この分野における制御理論の貢献の可能性を概観する.

11:15〜12:15, 13:30〜14:30
予測制御「環境に貢献する予測制御」
講師:藤田 政之君(東京工業大学)

 未来の予測情報を組み込んだ逐次最適化,拘束を陽に考慮した設計を可能にする予測制御は,不確かではあるがある程度の予測が可能な自然エネルギー供給やエネルギー需要を組み込んだエネルギーネットワークの制御や環境にやさしい自動車制御などに適した制御法として期待されている.本講義では,まず予測制御の定式化と制御則の構造からその安定性に関する基礎的な事項をできるだけ平易に解説する.次に,予測制御の実装法の一つであるハイブリッド予測制御について講師のこれまでの体験と例題をもとに紹介する.

14:45〜16:15
分散協調制御@「環境のための分散協調制御の基礎」
講師:畑中 健志君(東京工業大学)

 予測制御は環境問題に取り組む際の強力な方法論になる大きな可能性を秘めている.しかしながらスマートグリッドのように,扱うシステムが大規模化するにしたがって,全体の情報を収集し,かつその全てを踏まえた最適化を集中型の制御器で行うには限界がある.そこで,本講義ではまず個々のサブシステムが局所的な情報のみを用いて分散的に実装する分散予測制御に関する近年の動向を紹介する.次に,その他の分散制御法として,勾配系に基づく手法を紹介する.ここでは環境モニタリングやエネルギー管理のための技術として注目されているセンサネットワークにおけるセンサ分散配置問題を例にとり,この問題を分散的に解く方法を実験結果とともに紹介する.




12月4日(金) 第2日目(10:00〜16:45)

10:00〜11:00, 11:15〜12:15
分散協調制御A「マルチエージェント系の合意問題とその応用」
講師:石井 秀明君(東京工業大学)

 本講義ではまず,小型のセンサや群移動ロボットのネットワークから構成されるマルチエージェント系を考え,最も基本的なタスクの1つである合意問題について基礎から説明する.そこでは,局所的な情報交換を通じて,各エージェントが持つ状態量を一致させることが目的である.続いて,その応用例として,検索エンジンにおいて各ウェブページの重要度を表す PageRank の計算について述べ,最近提案された分散型確率アプローチを紹介する.2つの問題に対するアルゴリズムは分散的である点に加え,理論構造にも共通する部分を持つことを示す.

13:30〜15:00
応用事例@「電力供給インフラを支える制御技術」
講師:岡本 浩君(東京電力)

 電気はライフラインとして我々の生活や産業活動に不可欠な商品であり,その供給を支えているのが「電力系統」あるいは「電力供給システム」と呼ばれる巨大システムである.良質な電気を十分な信頼度でかつ環境への影響を最小限にしつつ低廉に供給するために,重要な役割を果たしているのが,この巨大システムの制御技術である.本講義では高信頼度の電力供給を支えている制御技術について,特に「再生可能エネルギーの統合」や「スマートグリッド」など,地球温暖化対策に関わる最近の話題も含めて紹介する.

15:15〜16:45
応用事例A「鉄鋼プロセス制御におけるモデル予測制御への期待」
講師:浅野 一哉君(JFEスチール)

 鉄鋼の製造においては,鉄鉱石を還元するために石炭中の炭素を使用するとともに大量の熱エネルギーを必要とするため,省エネルギー,二酸化炭素排出量削減は鉄鋼業が取り組むべき重要課題の一つである.日本鉄鋼業は従来から積極的にこの問題に取り組んできており,現在のエネルギー効率は世界を凌駕している.一方,制御手法としての観点では,モデル予測制御は,連続系だけでなくハイブリッドシステムの制御もカバーするものとして注目される.本講義では,鉄鋼プロセスへのモデル予測制御の適用について,日本鉄鋼協会における共同研究の成果を中心に紹介する.
(なお,本講義に関しては,諸事情によりテキスト等の配布物はございません.ご了承の程をよろしくお願い申し上げます.)


■ 講師紹介

滑川 徹(なめりかわ とおる)君(正会員)
 1994年金沢大学大学院自然科学研究科システム科学専攻博士課程中退. 同年金沢大学工学部電気・情報工学科助手,同講師を経て,2002年長岡技術科学大学機械系助教授. 2006年金沢大学大学院自然科学研究科助教授,同理工研究域電子情報学系准教授を経て,2009年慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科准教授となり現在に至る.ロバスト制御,協調制御,フォーメーション制御とそのロボティクス・メカトロニクスへの応用に関する研究に従事.博士(工学).計測自動制御学会,システム制御情報学会,IEEE CSSなどの会員.

藤田 政之(ふじた まさゆき)君(正会員)
 1984年早稲田大学大学院理工学研究科博士前期課程修了(電気工学専攻),1985年同博士後期課程中退. 同年金沢大学工学部助手. 同講師,助教授を経て, 1992年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授. 1999年金沢大学工学部教授.2005年東京工業大学大学院理工学研究科教授.2010年IEEE Multi-conference on Systems and Control General Chair.2008年IEEE Transactions on Control Systems Technology Outstanding Paper Award,2009, 1997年計測自動制御学会論文賞,2000年システム制御情報学会論文賞を受賞.ビジュアルフィードバック,協調制御,ロバスト・予測制御とその応用に関する研究に従事.工学博士.計測自動制御学会, IEEE などの会員.

畑中 健志(はたなか たけし)君(正会員)
 2002年京都大学工学部情報学科卒業.2004年同大学大学院情報学研究科数理工学専攻修士課程修了.2006年日本学術振興会特別研究員DC.2007年京都大学情報学研究科数理工学専攻博士後期課程修了.2007年東京工業大学大学院助教,現在に至る.協調制御,予測制御の研究に従事.博士(情報学).

石井 秀明(いしい ひであき)君(正会員)
 2002年トロント大学工学部電気工学科博士課程修了.2001年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 Coordinated Science 研究所ポスドク研究員.2004年東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻助手.2007年東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻准教授となり,現在に至る.Ph.D. ネットワークを介した制御系,マルチエージェント系の制御,ハイブリッド制御,確率的アルゴリズムなどの研究に従事.システム制御情報学会,IEEEの会員.

岡本 浩(おかもと ひろし)君
 1988年東京大学工学部電気工学科卒業,1993年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).東京電力(株)入社.電力系統の解析・制御に関わる技術開発,電力小売自由化に関わる総合調整,UHV(100万ボルト送電)技術の取纏め・国際標準化,再生可能エネルギーの電力系統への統合などの業務に従事.1996年電気学会論文賞受賞.現在,技術部系統技術グループマネージャー.国際電気標準会議(IEC)標準管理評議会UHV戦略グループ (SG2) ,電力産業諮問委員会(SB1),電力供給システム技術委員会(TC8)委員.電気学会上級会員,IEEE,CIGRE会員.

浅野 一哉(あさの かずや)君(正会員)
 1981年東京大学工学部計数工学科卒業,1983年同大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年川崎製鉄(株)入社.鉄鋼プロセス制御の研究開発に従事.2003年NKKとの統合によりJFE技研(株),2009年組織変更によりJFEスチール(株)計測制御研究部主任研究員.現在に至る.この間,1993〜1994年California Institute of Technology,1994〜1995年Swiss Federal Institute of Technology (ETH) 客員研究員.博士(工学).1995年本学会技術賞・友田賞,2000年同論文賞受賞.日本鉄鋼協会の会員.IFAC Technical Committee on Mining, Mineral and Metal ProcessingのChair.


■ 参加費

  正会員 学生会員 会員外 賛助会員※
一日参加 15,000円 4,000円 20,000円 4,000円
両日参加 30,000円 8,000円 40,000円 8,000円

※賛助会員枠について
賛助会員枠での参加は40名(受講者枠の半数)までとし,申込締切時においてこれを超過した場合には賛助会員口数や申込順等を考慮して受講者を決定させて頂きます. 賛助会員枠での受講の可否については,下記申込締切り後3日以内にメールにてお知らせいたします.賛助会員枠での受講に漏れた場合および期限を過ぎての申込の場合には,正会員と同じ取扱とさせて頂きますが,詳細については,Web案内および参加申込URLをご覧下さい. 賛助会員リストは下記URLにてご覧頂けます.
 http://www.sice.or.jp/annai/sancp.html


■ キャンセルポリシー

本セミナー参加申込のキャンセルポリシーは下記の通りです.

  1. 参加費が支払済みの場合
    1. 開催日10日以前(テキストの発送前)
      → キャンセルを受付けます(手数料は参加者負担で返金します).
    2. 開催日10日前を過ぎる(テキストの発送後)
      → キャンセルを受付けません(返金不可).下記 i,ii のいずれかを選択していただきます.
      1. 代理の出席
      2. 資料の発送

  2. 参加費が未払いの場合
    1. 開催日10日以前(テキストの発送前)
      → キャンセルを受付けます.
    2. 開催日10日前を過ぎる(テキストの発送後)
      → キャンセルを受付けません.参加費をお支払いいただきます.


■ 参加申込

SICE部門行事申込みページよりお申し込み下さい.


■ 参加費支払い方法

こちらをご覧の上,学会事務局に郵便振替または銀行振込してください.領収書の発行などは,申込時に該当箇所をチェックしてください.

■ お問い合わせ先

制御部門事業委員会 担当委員
内村 裕(芝浦工業大学)
 電話: 03-5859-8010, FAX: 03-5859-8001
 E-mail: uchimura@sic.shibaura-it.ac.jp
小島 千昭(東京大学)
 電話: 03-5841-6890,FAX: 03-5841-6890
 E-mail: chiaki_kojima@ipc.i.u-tokyo.ac.jp
浅井 祥朋(日産自動車)
 電話: 046-867-5375,FAX: 046-867-5332
 E-mail: yoshitomo-asai@mail.nissan.co.jp

学会事務局:
部門協議会担当/電話 03-3814-4121
 E-mail:bumon@sice.or.jp
(注:スパムメール防止のため@は@(全角)に置き換えています)