本賞は，制御部門が関与する科学技術および産業の分野において今後の発展に大きく寄与すると期待される研究発表を行った新進の学生・研究者・技術者個人に与えられる賞であり，今年度より新設されたものです． 受賞対象の論文は，津村幸治准教授との共著「スライディングモードによる遅延とロスに対する適応型制御」であり，2007年第7回制御部門大会にて発表されました．    

対象論文では，ネットワークを介した制御において無視できない問題点である遅延とロスに対して，チューニングの容易な制御手法として知られているスライディングモード制御をネットワーク制御系に適用することによる適応制御を提案したものです．提案手法によって得られるコントローラの利点は，外乱・雑音・遅延・ロスといった不確かさを事前に知ることなく設計が可能であり，かつこれらの不確かさを適応的に吸収することにあります．