受賞対象の論文は，"Periodic Oscillations in Cyclic Repressor Networks: Analytic Existence Criteria with Biological Insight" （原 辰次教授，金 泰亨博士（韓国・中央大学校）との共著） であり，同会議にて発表されました．

対象論文は，環状遺伝子制御ネットワークにおけて，タンパク質濃度の周期振動が存在するための解析的条件を求めたものです．この条件 は，環状遺伝子制御ネットワークにおいて，平衡点が局所不安定であれば周期振動が存在するという結果に基づき，大規模なシステムの局所安定性解析により得られたものです． 条件の特長として， 任意個の遺伝子で構成される環状遺伝子制御ネットワークに適用可能な点， パラメタの変動による平衡点の変動を陽に考慮した条件になっている点， 条件が反応パラメタのみによって記述されている点が挙げられます． さらに，これらの特長を生かし，得られた解析的条件から， 周期振動の存在に対し決定的な物理量とそれらの間の関係について考察し，生物学的な知見を得ることもできました.