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図に示すサンプル値制御系を考える。
ここで、制御対象
は連続時間系であるが、制御器
は
離散時間系
とアンチエリアシングフィルタ
、
理想サンプラ
、零次ホールド
で
構成されており、サンプリング周期は
とする。
なお、零次ホールド
の伝達関数
は
で与えられることに注意しておく。
図 2:
サンプル値制御系
 |
いま、ナイキスト周波数を
と定義し、伝達関数
の高調波成分を表す伝達関数
を
と表し、
を零次ホールド等価な伝達関数を表すとする。
このとき、達成可能な
制御性能
は、以下の定理で与えられる。
[定理2]
ただし、
ここで、
は
の最小位相部分を表す伝達関数で、
は、
の単位円外の零点である。
上記の結果から、以下のことわかる。
- 上記の結果において、第1項は取り除くことができない
連続時間系の不安定零点の影響である。
- 第2項と第3項はいづれも非負で、
それぞれ離散化零点の影響とエイリアシングの影響を表している。
- 例え制御入力に対するペナルティーを無くしても、すなわち
としても第2項と第3項は零とはならない。これが、サンプル値制御を
行うときに付加された性能限界の量で、サンプリング周期
を
零に近付けていくと、1次のオーダで零に近付いていくことが
確認できる。
Okajima Takashi
平成16年7月7日