有限周波数正実性条件に基づく統合化設計


LMI条件で書かれた有限周波数正実性条件に基づいた「制御対象と 制御器の統合化設計」は、以下の手順で行われる。 まず、所望の周波数帯域で有限周波数正実性条件を満たすように制御対象を 設計する。その後従来の制御器設計法を適用する。 この方法は、見かけ上従来の2ステップの設計法と同じであるが、 制御しやすい機構の特徴づけによって合理的に設計ステップを 2つに分離していることから、 分離原理にもとづく統合化設計と呼ばれている。

具体的には、制御対象の状態空間実現 $A,B,C,D$ において、 行列 $A$$C$ が定数で、行列 $B$$D$ が 設計パラメータ($\theta$)の線形関数であると仮定する。 このとき、有限周波数正実性条件式は $P,Q,\theta$ に関してLMIとなるので、 有限周波数正実条件を満たす制御対象の設計パラメータを 効率よく求めることができる。 アクチュエータ配置問題などはこの条件を満たしており、 双対な条件を用いることでセンサ配置問題も近似なく厳密に 最適化を行うことができる。

この結果は、制御対象が変動を含む場合にも拡張可能であり、 その場合は十分条件しか得られていないが制御しやすい制御対象設計のための 有用なツールとなっている。








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