第1回講演会 発表要旨
「情報と生命現象」
小林徹也 (東京大学生産技術研究所 統合バイオメディカル国際研究センター)
情報は生命現象を理解する上で不可欠な概念である。子が親に似る遺伝現象はまさに世代間での情報伝達である。その定量的法則がメンデルによって指摘され、その後、情報伝達を担う物質としてDNAが同定された。そして、DNA上に遺伝の情報が書き込まれるコードやそれが生体内で読み出されるセントラルドグマの 発見につながり、まさに情報の概念を介して分子生物学の基礎は出来上がってきたということができる。
遺伝情報にかぎらず、 細胞や生体の表現形の情報、免疫状態の情報、発生における形作りの情報、といった形で情報の概念は生命現象の理解に直結する。本講演では生命現象と情報に まつわる最新の話題を概説しつつ、その数理的な背景について紹介する。