第1回講演会 発表要旨
「生物システムの制御性能と情報量制約:制御理論の観点から」
津村幸治 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
本 発表では制御理論的観点から,生物システムの「機能」としての制御性能およびロバストネスと,その「ハードウェア」における情報伝達制約の関係について論 じる.特に細胞内・細胞集団内におけるタンパク質濃度の一般的な調整機構についての制御性能を解説する.具体的には,個々の細胞内の遺伝子による,特定の タンパク質の濃度調整機構と,細胞集団による制御機構の数理モデルを構築し,その制御フィードバック系における情報伝達特性を,制御理論的観点で議論す る.さらにその情報量制約と実現できる制御性能およびロバストネスとの関係を示し,制御系とみなした生物システムの制御性能限界を解析する.