第2回講演会 発表要旨

「分子ロボットのための制御工学」

中茎 隆 (九州工業大学大学院情報工学研究院) 

 新学術領域研究「分子ロボティクス」では、生体材料・分子のみで構築される全く新しい自律ロボットの実現を目指しており、生物、化学、物理、数学、工学など様々な専門分野の研究者がプロジェクトに参加している。メカトロニクスにおけるロボットと同様に、自律的な運動を実現するためには、分子ロボットにおいても生物的なアクチュエータやセンサ、制御演算回路が必要となる。モーションコントロールという点においては、センサ情報をもとにフィードバック制御則の計算を行い、アクチュエータの動作を調節すれば良いが、制御演算は生化学反応系で行われるため、マイコンや電気回路を前提としたメカトロニクスのための制御系設計法の常識や前提条件は満たされないことがある。ここに、分子ロボティクスのための制御理論の構築が求められている。本発表では、分子ロボットシステムの安定性や制御系設計について概説する。