有限周波数条件に基づくロバスト解析・設計法




有限周波数仕様に基づく制御系設計


 

一般化KYP 補題

フィードバック制御系やディジタルフィルタなどの動的システムの挙動はゲイン・位相特性などの周波数特性で特徴づけられる。したがって、動的システムの設計は「物理制約のもとでの周波数整形」と捉えることができる。このような周波数整形を系統的に行う一つの重要なツールとしてKYP補題(Kalman-Yakubovich-Popov)がある。これは、与えられたシステムの周波数特性の条件を線形行列不等式(LMI)で表される等価な条件に変換するものである。しかし、これまでのKYP補題は、すべての周波数帯域に亘る特性だけを対象としていたため、低周波域・高周波域といった注目すべき特定の周波数に限定した特性を直接的に取り扱えなかった。

 本研究では、この問題を解決するために、有限周波数帯域での周波数特性を特徴付ける統一的なLMI条件を導出した。これを一般化KYP補題と呼ぶ。この一般化KYP補題が扱えるクラスを明確にするとともに、そのロバスト性条件の導出や時間領域での解釈など理論的な展開を図っている。また、制御系設計を中心として動的システム設計への様々な応用に着手しており、そのためのソフトウエアツールの開発も行っている。